「困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてください!」のキャンペーンにご協力いただき、ありがとうございます。
昨日8日、第一次集約分として35,806人分の賛同者リストを厚生労働省に提出しました。
同時に、つくろい東京ファンドと生活保護問題対策全国会議の連名で、「生活保護の扶養照会運用に関する要望書」を提出し、厚生労働省の保護課の担当者との話し合いも行ないました。
要望書は下記のブログにアップしてあるので、ぜひご一読ください。生活保護問題対策全国会議に集まる専門家の皆さんは、具体的な通知の改正案まで作ってくれました。
田村厚労大臣に「生活保護の扶養照会運用に関する要望書」と厚労省通知の改正案を提出しました。
保護課の担当者からは、DVや虐待といった事情があるにもかかわらず、親族に連絡をしてしまったり、扶養照会を水際作戦のツールとして使うような不適切な事例はなくしていきたい、という話がありました。これらは当たり前のことですが、現状を鑑みると一歩前進です。ただ、抜本的な見直しへの言及はなかったため、私たちはあくまで「本人の承諾なしに親族に連絡をしない」という運用に変えることを求めました。
申入れの後に開催した記者会見には、新聞・テレビ・ネットメディアの記者が二十数人集まりました。
各メディアで、すでに報道されているので、ぜひご参考にしてください。
生活保護申請の際の「扶養照会」 見直し求め要望書提出 | NHKニュース
「生活保護、扶養照会が申請の壁」 支援団体、厚労省に見直し要求:朝日新聞デジタル
「生活保護を親族に知られたくない」…申請時の扶養照会見直し求め支援団体が厚労省に署名提出 -東京新聞
所持金6円でも「生活保護は嫌だ」申請を阻む高い壁。DV被害者の夫に連絡がいくケースも…-BuzzFeed News
生活保護申請ためらう「扶養照会」見直し求め要望書 家族に知られ、縁が切れた受給者も|弁護士ドットコムニュース
朝日新聞と毎日新聞には、改めてこの問題の解説記事が出たので、こちらも合わせてご覧ください。
「最終的には生活保護」答弁 炎上・反発の底に潜む問題:朝日新聞デジタル
生活保護「家族に知られたくない」 扶養照会に抵抗感、受給の壁に - 毎日新聞
国会では連日、扶養照会に関する議論が続いています。昨日(8日)の衆議院予算委員会でも稲富修二議員(立憲民主党)が菅首相と田村厚労相にこの問題を質問してくれました。
菅首相は扶養照会を「より弾力的に運用できるよう、今、厚生労働省で検討している」と述べました。
田村大臣は、家族関係が壊れている場合などは、現在も照会を不要としていると説明した上で、「家族としての関係が壊れているという1つの基準に『20年間、音信不通』というのはあるが、電話も簡単に使えない時代の認識だ。本当に家族の関係が壊れているのはどういう場合か、整理して検討しているので、なるべく早く、示したい」と答弁しました。
菅首相が扶養照会の運用見直しに言及したのは、署名活動の成果だと言えますが、20年間という期間を短縮したとしても根本的な解決にはなりません。
申入れに参加した生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士は、「小手先の改善では問題は解決しない。『例外的な場合に扶養照会しなくていい』という課長通知を『ご本人の承諾を前提とした上で、明らかに扶養の期待可能性がある場合に限って扶養照会する』と原則と例外を逆転させないとダメです」と指摘しています。
私は記者会見の場で、「厚生労働省が『生活保護は権利』という広報を始めたのは歓迎しているが、『本人の意思を尊重せずに、福祉事務所が勝手に親族に連絡できる』というしくみが残っている限り、権利として確立したとは言えない。通常の人間関係において、本人を飛び越えて勝手に面識もない家族に連絡をするというのはありえないが、そのありえないことが生活保護制度では起こっている。生活保護を利用しようとするご本人にとってみれば、生活保護制度の枠内に入ることは自己決定権が通じない世界に入れられるということを意味し、尊厳が傷つけられる。自己決定権が尊重される制度にすべきだ」という趣旨の話をしました。
菅首相、田村大臣には、微修正ではなく、制度の抜本的な見直しに取り組んでもらいたいと願っています。
署名は2月下旬まで続けるので、引き続き、ご協力をお願いいたします。
https://www.change.org/FuyoushokaiFuyou