ハコスカ、ケンメリ、鉄仮面…。「スカイライン」と聞けば、最初に思い浮かぶのは独特なニックネームと共に愛され続ける、日産の黄金時代を象徴するクーペではないでしょうか? 1990年代初頭には、日本のレース界を席捲した超人気モデルとして君臨しました。

 その「スカイライン」ですが、アメリカの自動車メーカーであるフォードが現地時間2021年7月12日に、米特許商標庁に自国内における「スカイライン」の名前の商標登録を出願していることが、フォード関連のニュースをまとめているウェブサイト「フォード・オーソリティ(Ford Authority)」によって発見されました。

 この件に関して、アメリカのカーメディア「Road &Track」がフォード社の広報担当者にメールでコメントを求めたところ、次のような返答が返ってきたとのことです。

商標出願は、新しいフレーズやデザイン、シンボルを保護するためのものですが、必ずしも新しいビジネスや製品の計画を示すものではありません。

 フォードは過去に、「スカイライン」の名前を使ったことはありません。ですが、フォード・オーソリティによると「スカイライナー」の名前は、フォードでは何度も使われているとのことです。

 具体例として、1950年代から「クレストライン(Crestline)」「フェアレーン・クラウン・ヴィクトリア(Fairlane Crown Victoria)」「フェアレーン500(Fairlane 500)」「ギャラクシー(Galaxie)」の4車種におけるトリムレベル(自動車の機器レベルや特別な機能を識別するために使用される用語)として登場しています。また、2014年に発表されたフォード「トランジット・スカイライナー(Transit Skyliner)」というコンセプトカーも存在しています。

 一方気になるのは、“本家”とも呼ぶべき日産の対応です。

 かつて、日産のスポーツモデルの象徴であった「スカイライン GT-R」は、「スカイライン」シリーズとは全く関係がないモデルとなり、公式サイトでもページは別に…。「スカイライン」は“セダン”にラインナップされ、「GT-R」は“スポーツ&スペシャリティ”および“NISMO”にラインナップ。独立したモデルになっています。

 折しも2021年6月12日(土)に日本経済新聞には、「日産の象徴『スカイライン』、開発に幕」と報じました。さらには、「日産がスカイラインを含めたセダンの次期型開発を中止し、SUVや電気自動車に開発資源を集中する」という内容もつづられていました…。それを受けて日産の星野朝子執行役副社長は、6月15日(火)の「ノートオーラ」発表会で「スカイラインの開発を中止する意思決定をした事実はない。日産はスカイラインを諦めない」とコメントしています。

 では日産USAを確認してみると、“Cars”ラインナップの中に「スカイライン」の名を冠したモデルはありません。ただし、“Sports Cars”および“NISMO®”には「GT-R」はラインナップされています。では、日本名「スカイライン」は北米では? これに関しては、北米モデル名「インフィニティQ50」が日本国内での「スカイライン」に当たるモデルになります。

 こんな状況を鑑み、今がそのタイミングとばかりにフォードはこの話を進めているのでしょうか? とは言え、その真意は藪の中…地平線の彼方に隠れて見えない状況です。

Source / Road & Track
この翻訳は抄訳です。