コロナで大逆境の「木下サーカス」、一人もクビにせず「奇跡の復活」へ…!

世界のサーカスが潰れるなかで…

年間120万人を動員する

百年企業の木下サーカスは、浮き沈みの激しいショー・ビジネス界でオンリーワンの地位を保ってきた。

岡山市に本社を置き、アーチストと呼ばれる演者と舞台スタッフ、運営社員たちは、ほぼ3か月おきに全国の都市から都市へ、約2000人収容の仮設劇場である巨大テントとともに「場越し(移動)」する。8頭のライオンとシマウマ3頭、象2頭、ポニー2頭も一緒だ。テントに隣接したコンテナハウスで団員と家族は暮らす。

2017年に横浜で開催された木下大サーカス〔PHOTO〕WikimediaCommons:Thirteen-fri氏の投稿
 

年間観客動員数は約120万人。宝塚歌劇団の本拠、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)が1年に集める観客と同等の観客数であり、世界のサーカス界で屈指の集客力を誇る。

その木下サーカスが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、2月28日の福岡公演を最後に現在まで5か月間、糧道を断たれている。3月には福岡から金沢へ、数百トンの機材を大型トラックやトレーラー100台に積んで場越しした。3月下旬に観客収容数を半分に減らして開演したが、金沢公演は3日で中止を余儀なくされた。

さすがの木下サーカスも絶体絶命の窮地に陥った、とエンターテイメント業界ではささやかれた。そこにカナダの前衛パフォーマンス劇団、シルク・ドゥ・ソレイユが経営破綻し、会社更生手続きに入ったニュースが届く。世界中で舞台への逆風が吹き荒れている。

ところがどっこい、木下サーカスは、この間、1人の解雇、退職者も出さずにふんばり、8月1日から東京都立川市・立飛特設会場でのソフトオープンを迎えようとしている。

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