総予測#31Photo by Kosuke Oneda

2019年までの不動産業界は「超売り手市場」で我が世の春を謳歌したが、新型コロナウイルスで一気に暗転。東京・大阪でオフィス賃料が下落局面に突入し、インバウンド頼りのホテル、商業施設も大打撃を受けた。特集『総予測2021』(全79回)の#31では、厳しい状況が続く不動産業界の21年を予測する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

新型コロナウイルスが
「不動産時計」の針を一気に進めた

 新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明感を背景に、企業の一部が新規移転、拡張移転に対して慎重な姿勢を取っている。これに不動産オーナーも警戒感を強めた。

 東京、大阪ともまだ空室率は低いものの、東京では賃料の下落ペースが加速し、大阪でも6年ぶりに賃料が下落に転じた――。

 総合不動産サービス大手JLLは2020年11月、南北アメリカ、欧州・中東・北アフリカ、アジア太平洋地域の主要都市のオフィス賃料動向を示す独自分析ツール「オフィス プロパティ クロック」(不動産時計)の20年第3四半期版で、そんな分析を発表した。

 そこからアジア太平洋地域を抜粋したのが、次ページの図だ。