脱炭素は「国家経済の生き残りがかかっている」玉木林太郎・OECD元事務次長
「脱炭素社会」に向けた世界経済の動きが急加速している。各国が競うように巨額の投資計画を打ち出す中、出遅れた日本は挽回することができるのか。経済協力開発機構(OECD)の元事務次長で、国際的な金融・環境政策の動向に詳しい玉木林太郎・国際金融情報センター理事長に聞いた。【聞き手・岡大介】
――脱炭素に向けて投資が集中しています。
◆2015年に採択されたパリ協定で合意したように、今世紀後半の一定時点で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしないと産業革命以前に比べて気温上昇を2度未満に抑えられない。これが科学的知見の積み重ねだ。21世紀後半の一番手前である50年までの脱炭素を達成しようという目標が多くの国・地域の間でコンセンサスになりつつある。前倒しの動きもあり、早い国ではフィンランドが35年の脱炭素達成を目指す。
――50年なら30年後の話です。
◆インフラを中心に、社会システムを変えるには非常に息の長い投資が必要だ。火力発電所なら平気で70年使う。50年に脱炭素を実現するには40年から慌てて始めても間に合わない。遠いようで極めて近い目標であり、これが今から人々が真剣に脱炭素に向けた投資を考えている大きな理由だ。別な言い方をすると、今の投資判断が未来を決めてしまう。
――コロナ禍で多くの国が経済的なダメージを受けています。それでも脱炭素に向けた取り組みが加速しているのはなぜですか?
◆気候変動への危機意識が強いこともあるが、経済的な合理性からも説明できる。化石燃料を使わないという、蒸気機関をワットが発明して以来の経済・社会システムの大きな変換が、もはや避けられないとようやく多くの人が納得した。避けられない変化であれば、早く行動した方がシステム転換の勝者になれる。先送りして済む問題ではない以上、先頭集団を目指すべきだと考えるようになった。だから、新型コロナウイルスの感染拡大後も動きは止まらない。
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