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ランナーに知ってほしい、マラソン大会運営の苦労

ランニングインストラクター 斉藤太郎

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3月26日、佐倉マラソンが開催されました。2019年以来4年ぶりの開催で、フル、10キロ、3キロの3部門で募集定員計1万人に対し、エントリーは7948人。地元・千葉での大会に関わらせていただいたことで改めて感じた時の移ろいと、地方大会が直面している課題について考えてみました。

佐倉アスリート倶楽部を長く率いられた小出義雄先生が亡くなられたのは19年4月24日。佐倉マラソンには毎年欠かさずにいらしてエールを送られていた先生のお顔を拝見できずに、どうしたのかな?と感じたのが、ちょうど1カ月前の3月24日。新型コロナウイルス禍による中断前最後となった第38回大会の日でした(エントリー数1万3033人)。

翌20年は1月末あたりからコロナ禍による様々な自粛の波がやってきました。第39回大会の受付は終了(エントリー数1万2877人)し、ほぼ開催への準備が整っていた中での2月27日の中止発表。諸大会が開催を見送る先駆けとなったのでした。中止発表後には、クオカードによる参加料の一部還元や、笑顔の小出監督がプリントされた参加Tシャツの郵送など、事後対応にも様々な配慮をしました。

4年ぶりとなった今回は第40回記念、小出先生を追悼するメモリアル大会として開催に至りました。しかしながら、前日からの雨は当日もやむことはなく、冷たい雨の中での大会となりました。大会後のSNS(交流サイト)等による感想には厳しい内容も見られました。ただ、もう少し運営側の抱える背景を知ってもらえたらという気持ちがあります。以下は一部分にすぎませんが、今後の大会継続に関わる課題を紹介させていただきます。

パワーに限界ある実行委員会

千葉県佐倉市の生涯スポーツ課が実行委員会の中枢となり、近隣の陸上関係団体より派遣される小委員の方々により、開催に向けた具体的な準備が進められました。求められるのは、柔軟なアイデア、諸条件を踏まえての運営手法の考案です。ロードレースの最新事情の知見も求められます。

生涯スポーツ課は佐倉マラソンの運営以外にも様々な大会などの行事に従事しています。陸上だけでも駅伝やトラック大会があり、各競技の世代別なども含めると多岐にわたり、多忙を極めているようです。

「土曜日は10キロとハーフマラソン、日曜日にフルマラソンはどうか?」。無責任にもとっぴなレベルのお話をしたことが以前ありましたが。佐倉マラソンのみに、そこまでの人員、パワー、予算、日程をかけることは難しいと回答されたことを覚えています。

ボランティアの不足

給水所、誘導、計測、関門など多くの方々が関わられています。各エイドでは、部活動やボーイスカウト・ママさんバレー等、既存のチームの連携・輪を生かした形で担っていただくことが多くなっています。ニッポンランナーズでもフルと10キロの部の参加者が通過する5.5キロ地点の給水所を担当しています。

中にはフルと10キロの部を合わせて3回もランナーが通過する長時間任務の給水所もあります。残念なことですが、協力人数は減少傾向にあります。今後は部活動の地域移行も関わり、中学生の部活動チームとしてのご協力が得られにくくなることが見込まれ、さらなる人員不足が危惧されています。

沿道の理解と交通事情

数千人が通過できる道幅で走りやすいコース。生活道路に影響を与える時間は最小限にとどめる。コースルートや関門時間はこれらを鑑みてつくられます。対面通行があれば、すれ違いざまにエールを送るなど、魅力あるコースになると思いますが、限られた大通りを封鎖すると、付近の生活が混乱したり、緊急車両の通行面でも問題が生じたりします。さらには佐倉市と印西市(旧印旛郡印旛村)の管轄をまたいだコース設定ということもあり、警察からの理解と協力を得るためには、さらに工夫したコース選択や安全面の対応策が強く求められていると聞いています。

公式ペースランナーの話

大会運営の話はこちらで締めくくり、ここからは公式ペースランナーを務めたことを紹介したいと思います。3時間0分から15分刻みに5時間0分までと、5時間30分の全10設定について、各2〜3人のチームで参加ランナーの快走へのサポートをさせていただきました。これまでのデータやコース対策を事前に共有し、コースの試走も重ねてきました。コース特性上、後半に風の影響を受けることが多く、前半にタイム貯金をつくるペース配分になります。

冷たい雨、水たまりなどのディスアドバンテージがありましたが、幸い強い風には吹かれませんでした。号砲からのグロスタイムでフィニッシュという設定ですので、スタート時のロスを帳消しにした上で、設定タイム以内で走る必要があります。

毎回のことですが「速すぎる」という声も聞こえてきます。「想定ペースより速い」と感じる方には申し訳ない思いを抱えながら、設定どおりのフィニッシュを見据えて走っています。私は3時間0分を3人で担当しました。スタートロスは18秒。その先の混雑ロスなども序盤に帳消しにした上で、ハーフを1時間28分台前半で通過しました。

30キロ手前で、疲労を感じている方が増えてきていることを察知。そこからは「このままのペースで進み2時間57〜58分程度を目指す方」「1キロのペースを4分20秒程度に落とし、貯金を利用しながら3時間0分切りを目指す方」の2つのグループに分け、私は後者を担当しました。前を行くペースランナーとリミットラインを走る私との間で走っていれば、「サブ3達成可能」という明確なゾーンができ、多くのランナーに理解された展開となったのでした。

40キロの通過は2時間49分台。残り2キロと195メートルをあと10分。端的な表現で「4分30秒+4分30秒+1分で走れたらOKです」。4分20〜25秒くらいのペースで進んでいたので、まわりのランナーの皆さんの目の色は明らかに「行けるぞ」と輝いていたのが印象的でした。小出義雄記念陸上競技場のフィニッシュには2時間59分台で戻った何名ものサブ3ランナーが誕生し、グータッチで祝福し合ったのでした。

私はこのコーナーを、主にランナーの皆様に向けて書いています。沿道で生活される、マラソンには関わりのない方が目にした時に、自分の考え方がどう捉えられるのかわかりませんが、少なくともランナーの皆様に理解していただきたいことがあります。レースは、当日の天候により大会運営も参加者の印象も大きく左右されてしまいます。参加者からしたら、不満に思われることも多々あるかもしれません。ただ、多くの事情を抱えながらルールと運営手法がつくられ、多くのボランティアにも支えられて年に1回のマラソン大会が開催されている。そのことを、ランニングに関わる方々には知っていただければと思います。

さいとう・たろう 1974年生まれ。国学院久我山高―早大。リクルートRCコーチ時代にシドニー五輪代表選手を指導。2002年からNPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)ヘッドコーチ、19年理事長に就任。走り方、歩き方、ストレッチ法など体の動きのツボを押さえたうえでの指導に定評がある。300人を超える会員を指導するかたわら、国際サッカー連盟(FIFA)ランニングインストラクターとして、各国のレフェリーにも走り方を講習している。「骨盤、肩甲骨、姿勢」の3要素を重視しており、その頭の文字をとった「こけし走り」を提唱。エッセンシャル・マネジメント・スクール特別研究員。著書に「こけし走り」(池田書店)、「42.195KM トレーニング編」(フリースペース)、「みんなのマラソン練習365」(ベースボール・マガジン社)、「ランニングと栄養の科学」(新星出版社)など。
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