【12月15日 東方新報】英国は12月8日から全国で新コロナウイルスのワクチン接種を開始し、米国も間もなく開始すると発表したことで、世界を席巻したコロナ禍がようやく沈静化する兆しを見せ始めている。

 コロナワクチンの開発においては、中国も世界の最先端を行く国の一つである。中国ではこれまで複数のワクチンの第3期臨床試験や国内で小規模なワクチン接種を行っている。それに加え、UAE衛生・予防省は12月9日、中国医薬集団が開発した不活化ワクチンの正式登録を発表した。

 しかし、多くの開発途上国にとっては、ワクチンの普及にはまだ長い道のりが必要だ。ワクチンをいかに世界中に公平的に分配するか、特に開発途上国での入手経路と手頃な価格を確保することは、国際社会が直面する難問である。

 このような背景の下、中国政府はこれまでに何度も「開発途上国への支援を行い、ワクチンを各国の人々が入手可能な価格の公共商品にするよう努力する 」と強調してきた。中国は、十分な生産、自給能力を有しているにもかかわらず、「COVAXファシリティ(COVAX Global Vaccine Facility)」に加入した。その目的は、ワクチンの公平な分配を促進し、発展途上国へのワクチンの供給を確保するためであり、より多くの国が実施プログラムに参加、支持するように促すためだ。

 このほど、中国からのワクチン第2弾の100万本がブラジルのサンパウロ州に到着した。その前に中国からのワクチン第1弾120万本がすでにインドネシアのジャカルタに到着している。

 インドネシアを例に挙げると、アジアで最も深刻な新コロナウイルスの発生国の一つとして、同国政府は大規模なワクチン接種計画を制定している。中国製ワクチンの第1弾が到着したことは、間違いなく同国の疫病対策への強力な後押しになる。インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は、「中国からのワクチンはインドネシアの人々にとっては朗報だ」と述べた。

 インドネシアだけではない。報道によると、メキシコは中国で生産されたワクチンを3500万本購入する予定で、トルコは中国製のワクチン5000万本を発注しており、その第1弾が近日中に到着する見込みだという。

 中国から見れば、大国としての役割を果たしており、中国のワクチンが世界的なワクチン不足を緩和する効果がある。しかし、中国が欧米諸国の信頼を得るのは容易ではない。 欧米の世論は、「中国はワクチンを地政学的な道具として利用している」「欧米のワクチン開発技術を盗んでいる」「中国のワクチンを使うのは政治的リスクが高い」などと主張している。

 中国はこのような世論を警戒しており、欧米諸国による中国に対する意図的な中傷キャンペーンだと解釈している。「中国のワクチンを悪者にする発言が繰り返されている背景には、政治的動機と同時に、市場シェアをより大きく獲得するための商業的利益に駆り立てられた側面もある」としている。

 現在、世界で新コロナウイルスの累計感染者の人数は6848万人を超え、少なくとも29か国ではいまだに1日1000例以上の感染が増え続けている。ワクチンは、人類にとってパンデミック(世界的な大流行)を克服するための最大の希望として、各国の協力によって公平に分配されるべきである。国際社会が政治的な議論によって泥沼化することを避け、ワクチンの安全性と有効性に注目すべきである。(c)東方新報/AFPBB News