CULTURE SPECIAL
徹底的に自己の内面を掘り下げて、演じるキャラクターに没入する「メソッド演技法」を実践するジャレット・レト。『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)から、今週末に日本公開の話題作『スーサイド・スクワッド』まで、レトが役になりきるために実行した超過激な役作りの数々をご紹介。
『スーサイド・スクワッド』でレトが与えられたジョーカー役は、ジャック・ニコルソンや故ヒース・レジャーが演じたことのある現代映画では有名なキャラクター。そのためレトは差別化を図るべく役作りを徹底させ、撮影期間中はカメラが回っていない時もずっとジョーカーのままでいることを実践。その影響をもろに受けたのは他のキャストメンバーだ。ハーレクインことマーゴット・ロビーはレトから生きた黒ネズミと一緒に箱に入れられたラブレターを送りつけられ、共演者のウィル・スミスは銃弾が沢山入った封筒を受け取った。さらに、ヴィオラ・デイヴィスによれば、レトはアシスタントを使ってキャストメンバーのところに豚の死体を置き去りにしたという。そしてレト自身の最新の告白によると、彼はキャストメンバー「全員」に使用済みのコンドームと、アナルビースも贈ったそう。「ダイナミックさや驚き、自発的な要素を生み出すために、そして、そこに存在する可能性のあるいかなる壁をもぶち壊すために色んな事をやったよ」と『E!』の取材で語ったレト。「ジョーカーはパーソナルスペースや個人の境界線なんか気にしちゃいない人間なのさ」
ウィル・スミスが「Beats 1 radio」に語ったところによると、レトはジョーカー役に没入するあまり、カメラが回ってないときでさえ一度も役柄から離れることはなかったそう。「結局、ジャレット・レト本人とは一度も対面してないことになるね。僕たちは半年間一緒に仕事していたけど、アクション!とカット!の外では一言も言葉を交わさなかった。つまり僕は彼とはまだ対面してないってわけさ。彼との初対面では『ヘイ、ジャレット。どうだい?」ってなるだろうね。彼はともかくジョーカーになりきっていたよ」
ダーレン・アロノフスキーの『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)で麻薬中毒のハリー・ゴールドファーブを演じていたときは、当時キャメロン・ディアスと付き合っていたにも関わらず、2カ月間に渡ってセックスを自らに禁じていたそう。その後、落とした体重を元に戻して、体を回復させるために、レトは頭を剃り、ポルトガルのビーチで捕まえた魚を食べていたそうだけど、そっちのほうがセックス断ちよりタフじゃない?
『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)の役作りの為に諦めたのはセックスだけではなかった。レトは自分の演じる役柄が痩せこけた姿になるよう食事を厳しく制限し、25ポンド(約11.3キログラム)も減量。努力が功を奏して、レトの演技は絶賛されたが、本人が『インディペンデント』紙に語ったところによると、それには相当な代償を払ったと言う。「いつも空腹を感じていた。撮影現場では気絶しそうだった」。肉体的な苦痛だけではなく、健康問題も発生。「骨髄に関する数値が400ポイントも低下したんだ。肝臓がやられたよ。 悲惨な状態だった。辛かったけど、最後は報われた。絶食したことがあれば分かるかも知れないけど、終わりに近づくと幻覚が見えるような瞬間があるんだ。そんなときは空を見上げて、完全なる静穏を感じていたよ」
ブルックリンを彷徨い、自分の人生を見失った麻薬中毒者、アロノフスキーの見ていた世界を体得するために、レトは路上で生活することに挑戦。レト曰く「麻薬中毒者とそこまで身近になることは僕の心を強く捕らえたし、彼らがどんな経験をしているのか間近で見るのは胸が張り裂けるような思いだった」
ビートルズのファンでありながら、最後にはジョン・レノンを殺してしまう男、マーク・チャプマンの心の闇に迫った映画『チャプター27』。実話を元にしたこの作品で、チャプマンを演じたレトは、実在する犯人に外見を似せるべく、ピザやパスタ、さらには何パイントものハーゲンダッツ・アイスクリームを溶かしてオリーブオイルと醤油を混ぜた液体をがっついて、62ポンド(約28キログラム)も増量した。ともすれば忘れ去られていたであろう映画で、レトの演技は賞賛されたが、その代償は高くつき、レトは体の痛みから車椅子に乗るのを余儀なくされた。「本当に馬鹿なことをしたよ。痛風になってしまった。コレステロールの数値が短期間で急上昇したものだから、僕の医者は、リプトア(コレステロールに効く薬)を勧めてきたよ。ずっと高齢の人が使用するやつさ。これまた興味深い経験だったよ」と『ガーディアン』の取材で語っている。
チャプマンを演じるために増やした体重を戻すために、レトは最初の10日間、固形物を一切口にしないリキッド・ダイエットを実践。その独特なレシピは「マスタークレンズ」と言われるダイエット法のものだ。レトはジミー・キンメルの番組で「以来、このファスティングを続けてるよ。レモンとカイエンペッパーと水だけっていう、この変わった断食法を実践してるんだ。10日間ぶっ通しで何も食べなかった間に20ポンドは体重が落ちたと思う」と語っている。
彼が率いるバンド「サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ」の楽曲「The Kill」のミュージック・ビデオについて、当初レトはビデオを監督したのは「バーソロミュー・カビンズ」という名の「アルビノのオランダ人で、実に感じの悪い奴」と主張していたが、後に『YRB 』誌に対して、それはミュージック・ビデオを自分の知名度から守る為にドクター・スースの作品に登場するキャラクターを騙ったのだと説明。「先入観なく、ありのままのビデオを体験して楽しんで欲しかったんだ。自分が監督したと主張することは、僕にとっては重要じゃなかった」
アカデミー賞助演男優賞を受賞した『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013)のトランスジェンダーの女性、レイヨン役では、レトは再び30ポンド(13.6キログラム)減量。さらに全身をワックス脱毛した。他の場合と同様、撮影中はずっと役柄になりきって、お手入れのスケジュールも厳守。「脚をワックス脱毛したよ。そうさ、僕は売春婦の役だった。ザラザラのが生えてくるのは嫌だった。眉毛もやったよ」
Translation & Text:Naoko Ogata Photo: Getty Images, AFLO, WARNER BROS, Youtube
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