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英でサプライチェーン危機、スーパーから商品消える-EU離脱も影響

  • トラック運転手が全国的に不足、EUの労働力に頼れば危険をはらむ
  • 危機が深刻化する場合でも首相が方針を堅持できるかどうかが焦点
 A woman wearing a face mask near empty fruit and veg shelves in an ASDA store on July 23, 2021 in Cardiff, United Kingdom (Photo by Matthew Horwood/Getty Images)

 A woman wearing a face mask near empty fruit and veg shelves in an ASDA store on July 23, 2021 in Cardiff, United Kingdom (Photo by Matthew Horwood/Getty Images)

Photographer: Matthew Horwood/Getty Images Europe

英国ではサプライチェーン危機でスーパーの棚から商品が消える事態となっているが、欧州連合(EU)に頼るという選択にジョンソン首相は抵抗している。これは「EU離脱ファースト」という政府の優先課題を際立たせる。

  英国の国境支配を取り戻すと同時に勤労者により多くの雇用を確保すると約束し、EU離脱キャンペーンを主導したジョンソン首相にとって、トラック運転手の全国的な不足を解決するため、すぐにEUの安価な労働力に頼ることは、政治的危険をはらむ。

  シンクタンクのインスティテュート・オブ・エコノミック・アフェアーズ(IEA)でチーフエコノミストを務めるジュリアン・ジェソップ氏は、首相がそのような行動に出れば、EU加盟の利益を暗黙のうちに認めることになると指摘する。

  EU離脱を公に擁護してきたジェソップ氏は「労働者の自由な移動が英国に一定の恩恵をもたらしてきたことを彼らは認めたくない。EU離脱に自信がないように映りかねない」との見方を示す。

  チキン専門ファストフードチェーンのナンドーズ・グループは、鶏肉不足で一部の店舗を閉めざるを得なくなり、マクドナルドも英国でミルクシェイクが品切れとなった。英国の接客・外食業界は年末にかけて需要が拡大し、このような不足が深刻化すると警戒する。

  ロンドン大学クイーン・メアリー校のティム・ベール教授(政治学)は「EU離脱は、自由市場へのコミットメントと主権へのコミットメントとの間で保守党の価値観に常に緊張を生じさせようとした。最終的には彼らは主権を選んだ」と分析する。

  新型コロナウイルス感染拡大を抑制するための各種制限の解除や学校再開に伴い、サプライチェーンへの圧力は今後強まると予想される。主要な経営者団体、英産業連盟(CBI)のトニー・ダンカー事務局長は6日、英国での労働力不足が2年にわたり続く恐れがあると警告した。

  サプライチェーン危機が深刻化する場合でも、ジョンソン首相が自らの方針を堅持できるかどうかが、今後数週間で重要な焦点となる。

 

Driver shortage in the U.K. is leaving businesses short of products
 
 

 

原題:
Johnson’s Brexit First Strategy Collides With Empty Shop Shelves(抜粋)

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