五輪で「難局乗り越えられることを発信」…首相、サミットで開催意義訴える

　【コーンウォール（英南西部）＝藤原健作、池田晋一】英コーンウォールで開かれている先進７か国首脳会議（Ｇ７サミット）は１１日午後（日本時間１１日深夜）、新型コロナウイルス禍からの「よりよい回復」について討議した。菅首相は今夏の東京五輪・パラリンピック開催の決意を改めて表明し、各国首脳に選手団の派遣を要請した。

　首相は、「世界が新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と述べ、大会の意義を強調した。その上で、「安全安心な大会の開催に向けて、万全な感染対策を講じて準備を進める。強力な選手団を派遣してほしい」と呼びかけた。

　日本政府によると、首脳の一人は「全員の賛意を代表して東京大会の成功を確信している」と支持する意向を示した。

　菅首相はまた、新型コロナで露呈した世界的なサプライチェーン（供給網）のもろさに言及し、「Ｇ７が協調する形で戦略的に取り組んでいく必要がある」と訴えた。

　日本政府によると、初日の討議では、各国首脳から保健分野の供給網の脆弱（ぜいじゃく）性を指摘する声が上がった。感染拡大の初期にマスクや人工呼吸器が不足し、中国が途上国などへの物資支援で存在感を示した。Ｇ７は、自国製ワクチンを海外に供給する中国の「ワクチン外交」にも危機感を強めている。

　自動車業界では、新型コロナの影響で半導体の調達が難しくなる事態も起きた。

　菅首相は、中国を念頭に「産業補助金をはじめとする市場歪曲（わいきょく）的な措置など、経済面での諸課題はＧ７の価値観とは相いれない」とも発言した。Ｇ７首脳は、覇権主義的な動きを強める中国に対し、経済面でも結束を確認する方向だ。

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