現地時間5月6日(日)にカミラ王妃と共に戴冠したチャールズ国王(以下チャールズ)。皇太子時代に会ってから結婚するまで35年、そして国王になるまで50年、カミラ王妃(以下カミラ)を愛し続けてきた。国民に深く愛され敬われたダイアナ元妃をないがしろにしたことから世間に激しくバッシングされることがあってもチャールズの気持ちは変わらなかった。ここまで国王を一途にさせたカミラとは男を狂わす魔性の女なのか、それとも救いの手を差し伸べる聖母なのか。戴冠式を記念して、カミラの持つ力の謎に迫る。
※2024年3月28日UPDATE
まずはチャールズとカミラの基本情報を復習。カミラは1947年生まれで現在75歳。チャールズは1948年生まれで現在74歳。チャールズがまだ独身だったとき、カミラが”人妻”だったからか、ものすごい年の差カップルなイメージがあるけれど実はちょっとお姉さんなだけ。
思わせぶりトークで一気に間を詰める
2人の出会いは1970年。当時チャールズは22歳、カミラは24歳だった(誕生日のタイミングゆえこのとき2歳の差があった)。出会ったときカミラはこう自己紹介した。「私の曽祖母はあなたの曽祖父の愛人だったのよ。私たちには何か共通点があるような気がする」。曽祖母と曽祖父の関係を使って”ご縁”をアピールするだけでなくそこに”愛人”というワードを挿入、なまめかしいムードを出してくるあたり、高級クラブの凄腕ママになれそうなトーク力。まだまだウブだったチャールズがくらっときても無理はない。
話すのではなく「話させる」
関係者は「この初対面で2人はすぐに恋に落ちた」「お互いにすぐに惹かれあった」と話しているけれど、ロイヤル専門家のマーレーン・ケーニグによると、どちらかというと積極的だったのはチャールズ。「カミラに熱烈なラブレターを送り、毎晩電話をした」。チャールズは彼女が郊外で暮らし、乗馬やポロ、狩猟を楽しんでいることに惹かれたそう。当然話題もこれらがメイン。乗馬や狩猟はロイヤルであるチャールズも嗜んできた。それはもちろんカミラも知っていたはず。チャールズが上手にトークできるよう、彼の得意なトピックを全面に押し出してきた可能性も高い。
経験が豊富
カミラは17歳の頃から、いずれ結婚するアンドリュー・パーカー・ボウルズとくっついたり離れたりしていた。24歳のときは当然処女ではなかった(と思われる)。ロイヤル専門家のトーマス・メイス・アーサー・ミルズによると王室はチャールズとカミラの交際に反対したが「その一番の理由はカミラが処女ではなかったことだ」。とはいえ、初対面の「愛人」発言でチャールズが恋に落ちたことを踏まえれば、カミラに男性経験があったことがむしろチャールズの興味を掻き立てたとも言える。
男を待たない
チャールズは1972年に海軍に入隊する。ちなみに王室が2人の関係を裂くためにチャールズを軍隊に送り出したとも言われている。チャールズが軍隊に行くとそれまでポロの試合を一緒に見に行ったり、夜な夜な電話でいちゃついたりしていたりしていたのに、カミラはさっさとそれまでオン&オフを繰り返していたパーカー・ボウルズと婚約、結婚してしまう。待つ女より、自由気ままな女の方が男を惑わせるのは世の倣い。(続)
ちなみにカミラ結婚のニュースを聞いたチャールズは2日間部屋に閉じこもり、食事も取らなかったと歴史家のスザンナ・デ・ヴリーズが『Royal Marriages』に書いている。この時点で既にチャールズはカミラの思うがまま。
黙って聞いてあげる
1979年にチャールズは大叔父のルイス・マウントバッテンをテロで亡くす。幼少時から慕っていた大叔父の死にチャールズは大きなショックを受けた。そのときチャールズが頼ったのが既に結婚していたカミラ。ケーニグ曰く「チャールズにとってなんでも話せる人はカミラしかいなかった」。男はときにアドバイスや叱咤激励をくれる人ではなく、ただ頷きながら聞いてくれる人に引き寄せられていくとか、いかないとか。
忘れさせない
ダイアナと結婚することになったチャールズにカミラが贈ったのは「シャネル」のカフスボタン。自分とチャールズのイニシャルが「絡み合った」ロゴがついたものを結婚式のプレゼントに贈るのもすごいが、カフスボタンというアイテム選びも巧み。毎日身につけられて、常に目に入る。それでいて目立たないから公務にもつけていける。手元を見るたびに自分を思い出してもらう作戦だった疑いあり。
面倒見がいい
これはカミラの大きな魅力。アンドリュー・パーカー・ボウルズと結婚してからは外に仕事を持たず、息子&娘の子育てに専念してきた。息子のトム・パーカー・ボウルズも「彼女は私たちの母親である以外に仕事をしていなかった」「素晴らしい母親であり、祖母だ」と話す。最近も孫娘が好きな単語パズル「Wordle」に自分も挑戦、その結果を毎日テキストでやりとりしている。息子の贔屓目が入っているとしても、面倒見がいい母であり祖母であるのは間違いなさそう。(続)
この面倒見のよさを証明するような事件が、エリザベス女王崩御直後に起きた。チャールズと北アイルランドを訪問したカミラは記帳の際、チャールズが日付を間違えて書いていることをやんわり注意。さらにチャールズが、記帳に使った万年筆からインクが漏れていることに「最悪だ!」「もうやだ!」と癇癪を起こすと万年筆を静かに受け取り、従者に手渡してその場を丸く収めていた。インクが漏れてるペンを押し付けてくる国王をさりげなくフォローするカミラ。ちなみに国王はすぐ頭に血がのぼって、すぐ収まるタイプ。クールダウンした後、「この人がいないと僕はだめ」と思っている可能性も大。その結果ますますハマっていくのかも。
下ネタ対応力が高い
チャールズとカミラといえば「タンポンゲート」。ダイアナ元妃と別居中のチャールズが夜中にカミラに長電話し「きみのタンポンになりたい」と言った事件である。注目したいのはこのときカミラがどう受け応えていたか。まずチャールズは「君のズボンの中で暮らしたい」と発言。カミラはそれにくすくす笑って「何になりたいの? パンツとか?」と答え、冒頭のタンポン発言につながる。カミラが潔癖なタイプ、下ネタNGな真面目系だったらズボン発言でまずドン引くはず。ここで相手のノリに合わせられるあたりもチャールズが彼女にハマった一因だと考えられそう。ちなみにカミラはチャールズのタンポン発言の後、「バカね! でもいいアイディアかも」と笑ってあげていた。その結果、チャールズはますます調子に……もとい、ますますハマっていったかも。
最高の味方になれる
ちなみにこのタンポン発言のとき、チャールズはカミラとの関係をマスコミにバッシングされて落ち込んでいた。電話の終盤、グチをこぼすチャールズにカミラは「私はあなたを誇りに思っている」。チャールズが「僕は何も成し遂げていない」と泣き言を重ねると「いいえ。あなたは色々なことを成し遂げたし、私を愛したことは最大の功績よ」。弱っているときにこんな風に言われたら男女を問わずくらっときてもおかしくない。チャールズが「電話を切りたくない」「おやすみって言いたくない」と駄々をこねるとカミラは「私もよ。でもあなたは少し寝なくちゃ。おやすみなさい」。これってもしかして魔性の女でも聖母でもなく母親……?
ひたすら献身的
2024年初めにチャールズ国王は前立腺肥大症の手術を受けるために入院。これまでのロイヤルは配偶者が入院しても付き添わないのが通例だった。エリザベス女王とフィリップ王配も互いが入院したとき付き添わず、お見舞いにもほとんど訪れていない。しかしカミラ王妃は手術から24時間の間に3回病院を訪問。退院するときも一緒だった。この献身的な態度にほだされない人はいないはず。
失望させない
国王が入院中、キャサリン皇太子妃も腹部の手術のために入院、術後の療養生活を続けていた。つまりこの時期の英国王室は圧倒的な人手不足。そんな中カミラ王妃は国王を見舞いつつ、単独公務に邁進。その後国王ががんの診断を受け、治療のために公務を引き続き休むことになると頑張り度がヒートアップ。悪天候で移動のヘリコプターが飛ばなくなってしまったときは6時間はかかる距離を車で移動。予定をキャンセルすることなく任務を遂行した。王妃は現地で自分を待っている人たち、そして何より国王を失望させたくないという一念で動いていたと関係者は語る。
相手にとって本当に必要なものを見極める
がんだと診断された国王を見舞うため、英国王室のスーパー問題児ヘンリー王子が帰国する。チャールズ国王との面談時間は30分とも15分とも言われているが、いずれにしても短かった。ヘンリー王子は面談中、王妃が同じ部屋にいるのを嫌がったと関係者は語っている。王妃が席をはずさなかったのには理由がある。
関係者によると王子を信用していないウィリアム皇太子は国王と王子が2人だけになることを嫌がったという。王妃はその皇太子の意向を察し、たとえ王子が嫌な顔をしたとしてもその場に居続けたと見られている。その場の空気を読む人であれば、夫と義理の息子に父子水いらずの時間を過ごさせてあげようと席を外したはず。でも王妃が愛する夫は単なる父ではなく国王であり、彼が大切にするべきなのは跡取りである皇太子との関係。だから王妃もその場の雰囲気に流されず、皇太子の心中を見極めそれを汲んで行動したもよう。夫にとって何が最善かを見極める力、そして王室内のダイナミクスを読む力に長けている。
相手の欲することを察知してニーズに応える力。ほんの少し年上なだけなのに経験豊富で、さりげなくリードしながら母親のような優しさで包み込む。自分のすべてを受け止めてくれるこんな人が隣にいたらチャールズでなくても頼ってしまいそう。エリザベス女王からも「カミラが王妃として知られるようになることを願っている」と言われ、王室もその存在を受け入れついにクイーンにまで上り詰めたカミラ。やはり天性の人たらしなのかも。