順大の三浦龍司、ダイヤモンドリーグ3000M障害で日本新記録…来春、卒業後はスバルへ

6月2日の日本選手権でも力走を見せた順大の三浦龍司
6月2日の日本選手権でも力走を見せた順大の三浦龍司

 陸上の世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)第4戦は9日、パリで行われ、男子3000メートル障害で順大の三浦龍司(4年)は自身の持つ日本記録を0秒01更新する8分9秒91の日本新記録で2位になった。1週間前の2日に行われた日本選手権3000メートル障害では8分21秒41で2位に約5秒差をつけて圧勝し、3連覇を飾ったばかり。わずか1週間で、世界のトップレベルと競り合い、好走した。

 ただ、向上心の強い三浦は4度目の日本新記録にも決して満足していない。この日、優勝したギルマ(エチオピア)は7分52秒11の世界新記録を樹立した。「すごいと思うし、同じレースをして目の当たりにするのは貴重な体験。僕ももっと強くなりたいと感じられた」と話した。

 三浦は日本選手権で優勝し、8月のハンガリー・ブダペスト世界陸上の日本代表に内定した。今夏の世界陸上、さらには来年のパリ五輪同種目で日本人初のメダル獲得が期待される。

 来春、卒業後の所属先としては、近年、急成長中の実業団チームのスバルに絞っている。多くの実業団チームから熱心に勧誘された中で、好選手が多く、近年、勢いを増しているスバルが最も自身の競技環境に適していると判断したという。

 スバルには1万メートルで日本歴代8位(27分31秒27)で今年の日本選手権5000メートル3位と健闘した清水歓太(27)、1万メートル27分9秒83の自己ベストを持つケニア人選手のキプランガット・ベンソン(19)ら有力選手が所属。また、持ちタイム以上の強さがあり「口町ロケット」の愛称を持つ口町亮(28)、1500メートル日本歴代7位(3分37秒36)で今年の日本選手権3位のスピードランナー森田佳祐(27)ら個性豊かな選手も多い。3000メートル障害で世界と勝負するという確固たる目標を持つ三浦にとって強い刺激を受けられるチームと言える。

 群馬・太田市に本拠地を置くスバルは、地元を走るニューイヤー(全日本実業団)駅伝を重要視している。ニューイヤー駅伝が開催される正月はトラックのオフシーズンのため、参戦は可能。実際、三浦は1月2日の箱根駅伝往路で1年時に1区(21・3キロ)、2年時と3年時には2区(23・1キロ)を走っている。ニューイヤー駅伝の1区(12・3キロ)、あるいは最終7区(15・7キロ)の距離であれば、三浦のスピードが最大限に生かされ、スバルにとっては悲願のニューイヤー駅伝優勝の切り札として期待できる。三浦とスバルはウイン・ウインの関係となることは間違いない。

 今年のブダペスト世界陸上は順大の三浦として、来年のパリ五輪ではスバル三浦としてメダルを目指すことになる。圧倒的なスピードとセンスを持つ三浦は、3000メートル障害における日本記録と歴史を、まだまだ更新し続ける。

 ◆三浦 龍司(みうら・りゅうじ)2002年2月11日、島根・浜田市生まれ。21歳。国府小1年から陸上を始め、浜田東中で全国大会出場。京都・洛南高に進学し、3年時に3000メートル障害で8分39秒37の日本高校記録をマーク。20年に順大に入学。21年6月の日本選手権3000メートル障害で8分15秒99の日本新記録(当時)で初優勝。同年7月の東京五輪の同種目予選で8分9秒92と日本記録をさらに更新。決勝で7位入賞。自己ベスト記録は1500メートル3分36秒59(日本歴代3位)、3000メートル7分47秒98(日本歴代6位)、5000メートル13分26秒78、1万メートル28分32秒28、ハーフマラソン1時間01分41秒(U20日本記録)。学生3大駅伝成績は1年全日本大学駅伝1区区間賞(区間新)、箱根駅伝1区10位。2年全日本2区区間賞、箱根2区11位。3年出雲駅伝2区区間2位(区間新)、3年全日本2区3位、箱根2区12位。今季は順大で藤原優希(4年)と共同主将を務める。168センチ、56キロ。

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