HOME 駅伝

2023.06.18

帝京大は6位通過「気持ちを共有できないと、箱根予選会は戦えない」 指揮官は危機感あらわ/全日本大学駅伝関東選考会
帝京大は6位通過「気持ちを共有できないと、箱根予選会は戦えない」 指揮官は危機感あらわ/全日本大学駅伝関東選考会

23年全日本大学駅伝関東選考会の3組3着と力走した山中博生

◇全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会(6月17日/神奈川・相模原ギオンスタジアム)

第55回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が行われ、帝京大は6位で2年ぶりの本大会出場を決めた。

広告の下にコンテンツが続きます

中野孝行監督が2005年に指揮をとるようになり、2008年に伊勢路に返り咲いて以降、この大会では2年連続で敗退したことはなく、今回もその法則通りに前回の雪辱を果たした。

1組目を終えた時点では、ボーダーラインの7位とはわずか0.16秒差だったものの、8位と通過圏外だった。最終組に向けてコツコツ貯金を作るはずが、それは叶わなかった。

だが、2組目を任された小林大晟(3年)が奮起。

「うちは大エースがいないので、前半の組で勝てないと厳しいのは分かっていた。(タイムを)稼ぐことが自分の役割。上位でゴールしようと思っていました」

広告の下にコンテンツが続きます

大東大のピーター・ワンジル(3年)の飛び出しにはあえてつかず、2位集団でレースを進めた小林。終盤の勝負所に備えて、ペースの上げ下げに耐えた。「ラストのひと伸びがなかった」と反省を口にしつつも、「最低限はクリアできた」と、5着でフィニッシュした。前回の選考会でも2組を担った末次海斗(4年)も13着と粘り、総合成績で帝京大は5位に浮上。通過ラインから31秒の貯金を持って、後半に突入した。

3組では、今年の箱根駅伝8区6位の山中博生(3年)が力走を見せる。1周目が74秒と超スローペースになり、東農大の高槻芳照(4年)が飛び出すと、山中も対応する。

「(3組は)速いペースになるのも、ゆっくりペースになるのもあり得るので、どちらの展開も想定していた。ただ、速いペースで押していくほうが得意なレース展開なので、集団が分かれた時は、迷わず前に行くことを選びました」と、高槻のペースアップに食らいついた。

そして、「できるだけ牽制し合わないように、お互い引っ張り合いながら(後続を)離していこうという意識で走っていました」と言うように、高槻とともにじわじわと後続との差を広げていき、残り1周まで二人旅を続けた。

広告の下にコンテンツが続きます

結局、終盤に追い上げを見せた城西大の野村颯斗(4年)に抜かれ、高槻にも敗れはしたものの、山中は組3着と健闘し、チームは総合4位に浮上した。

最終組では、小野隆一朗(4年)が16着でフィニッシュしたが、今季好調だった主将の西脇翔太(4年)は32着と苦戦した。それでも、3組目までの貯金を守り切り、6位で伊勢路の切符をつかんだ。「みんながつないでくれて、なんとか通ることができました。みんなに感謝です」と、西脇は仲間の走りを称えた。

副主将の日高拓夢(4年)、期待のルーキーの楠岡由浩をケガで欠きながらも、堅実なレースは見せただろう。しかし、後ろを見れば、8位・立教大とは25秒差の僅差。「本当に気を緩められない」と、指揮官は危機感をあらわ。レース後の言葉も厳しかった。

「今回走った8人はプレッシャーがあったなか、よく頑張ってくれた。だが、8人だけでなく、チーム全体で気持ちを共有できないと、箱根駅伝の予選会は戦えない」

広告の下にコンテンツが続きます

走った選手たちを称えつつも、次なる目標に向けて気を引き締めなおしていた。

文/福本ケイヤ

◇全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会(6月17日/神奈川・相模原ギオンスタジアム) 第55回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が行われ、帝京大は6位で2年ぶりの本大会出場を決めた。 中野孝行監督が2005年に指揮をとるようになり、2008年に伊勢路に返り咲いて以降、この大会では2年連続で敗退したことはなく、今回もその法則通りに前回の雪辱を果たした。 1組目を終えた時点では、ボーダーラインの7位とはわずか0.16秒差だったものの、8位と通過圏外だった。最終組に向けてコツコツ貯金を作るはずが、それは叶わなかった。 だが、2組目を任された小林大晟(3年)が奮起。 「うちは大エースがいないので、前半の組で勝てないと厳しいのは分かっていた。(タイムを)稼ぐことが自分の役割。上位でゴールしようと思っていました」 大東大のピーター・ワンジル(3年)の飛び出しにはあえてつかず、2位集団でレースを進めた小林。終盤の勝負所に備えて、ペースの上げ下げに耐えた。「ラストのひと伸びがなかった」と反省を口にしつつも、「最低限はクリアできた」と、5着でフィニッシュした。前回の選考会でも2組を担った末次海斗(4年)も13着と粘り、総合成績で帝京大は5位に浮上。通過ラインから31秒の貯金を持って、後半に突入した。 3組では、今年の箱根駅伝8区6位の山中博生(3年)が力走を見せる。1周目が74秒と超スローペースになり、東農大の高槻芳照(4年)が飛び出すと、山中も対応する。 「(3組は)速いペースになるのも、ゆっくりペースになるのもあり得るので、どちらの展開も想定していた。ただ、速いペースで押していくほうが得意なレース展開なので、集団が分かれた時は、迷わず前に行くことを選びました」と、高槻のペースアップに食らいついた。 そして、「できるだけ牽制し合わないように、お互い引っ張り合いながら(後続を)離していこうという意識で走っていました」と言うように、高槻とともにじわじわと後続との差を広げていき、残り1周まで二人旅を続けた。 結局、終盤に追い上げを見せた城西大の野村颯斗(4年)に抜かれ、高槻にも敗れはしたものの、山中は組3着と健闘し、チームは総合4位に浮上した。 最終組では、小野隆一朗(4年)が16着でフィニッシュしたが、今季好調だった主将の西脇翔太(4年)は32着と苦戦した。それでも、3組目までの貯金を守り切り、6位で伊勢路の切符をつかんだ。「みんながつないでくれて、なんとか通ることができました。みんなに感謝です」と、西脇は仲間の走りを称えた。 副主将の日高拓夢(4年)、期待のルーキーの楠岡由浩をケガで欠きながらも、堅実なレースは見せただろう。しかし、後ろを見れば、8位・立教大とは25秒差の僅差。「本当に気を緩められない」と、指揮官は危機感をあらわ。レース後の言葉も厳しかった。 「今回走った8人はプレッシャーがあったなか、よく頑張ってくれた。だが、8人だけでなく、チーム全体で気持ちを共有できないと、箱根駅伝の予選会は戦えない」 走った選手たちを称えつつも、次なる目標に向けて気を引き締めなおしていた。 文/福本ケイヤ

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.01

パリ五輪マラソン・ケニア代表発表!3連覇目指すキプチョゲ、駅伝で活躍のムティソ 女子は東京五輪金・ジェプチルチルら強力布陣

ケニア陸連は5月1日、パリ五輪のマラソン代表を発表し、リオ、東京と五輪の男子マラソンで2大会連続金メダルを獲得しているエリウド・キプチョゲをはじめ男女6人が選ばれた。 男子の代表はキプチョゲのほか、今年の東京マラソンで世 […]

NEWS 「2023年度中部実業団陸上 of The Year」に赤松諒一と園田世玲奈が選出 特別賞に太田智樹

2024.05.01

「2023年度中部実業団陸上 of The Year」に赤松諒一と園田世玲奈が選出 特別賞に太田智樹

5月1日、中部実業団連盟は2023年度の「中部実業団陸上 of The Year」受賞者を発表し、男子は走高跳の赤松諒一(西武・プリンスホテルズワールドワイド)、女子は競歩の園田世玲奈(NTN)が選ばれた。 赤松は4月3 […]

NEWS セイコーGGP女子5000mにブダペスト代表の五島莉乃&佐藤早也伽が追加出場!高島由香、小海遥、米澤&山﨑の学生コンビも

2024.05.01

セイコーGGP女子5000mにブダペスト代表の五島莉乃&佐藤早也伽が追加出場!高島由香、小海遥、米澤&山﨑の学生コンビも

日本陸連は4月24日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の女子5000mの追加出場選手16人を発表した。 ブダペスト世界選手権1000m代表の五島莉乃(資生堂)、同マラソン代表の […]

NEWS 女子5000m・廣中璃梨佳、男子やり投・スミトがセイコーGGPを欠場

2024.05.01

女子5000m・廣中璃梨佳、男子やり投・スミトがセイコーGGPを欠場

日本陸連は5月1日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の欠場者を発表し、女子5000mの廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が出場しないことが明らかとなった。コンディション不良を理由と […]

NEWS 田澤廉が日本選手権10000m欠場を発表「コンディション不良のため」初五輪への道険し

2024.05.01

田澤廉が日本選手権10000m欠場を発表「コンディション不良のため」初五輪への道険し

日本陸連は、5月3日に行われる第108回日本選手権10000mにおいて、男子の田澤廉(トヨタ自動車)がコンディション不良のため欠場すると発表した。 田澤は駒大在学中に、22年オレゴン世界選手権に出場。社会人1年目の昨年は […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top