毎年5月の第1月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されるファッション界最大の祭典、METガラ。2024年は5月6日(月)に開催される。テーマは「Sleeping Beauties: Reawakening Fashion(眠れる美への追憶―ファッションがふたたび目覚めるとき)」。セレブたちが毎年テーマをそれぞれ解釈、レッドカーペットでそれを表現する。
しかし毎回テーマが哲学的なこともあり、見ている人を驚愕させたり悩ませたりする衣装が例年続出。今年はテーマを聞いてディズニーの「眠れる森の美女」を連想、やらかしてしまうセレブが続出するのではないかとも囁かれている。そこで今回はMETガラ史に残る失敗ドレスを一挙プレイバック。今年の勘違いコスチュームを見る前に心の準備をしておきたい。
リル・キム(1999)
PETAも黙るお下品ロック
気合いを入れて「ロックスタイル」を表現したと見られるリル・キム。ブラトップにホットパンツはそれまでのMETガラの流れからするとあまりにも高露出だったことから物議を醸した。一部から「下品だ」という批判が出てくるほど。いつも同じは毛皮にうるさい動物保護団体「PETA」がミンクのコートに抗議しなかったのもその下に着ていたものが大胆すぎたからだという噂まで出た。
リヴ・タイラー&ステラ・マッカートニー(1999)
仲良くお買い物?
当時「クロエ」のチーフデザイナーを務めていたステラ・マッカートニーと映画『アルマゲドン』でブレイクしたばかりの人気女優リヴ・テイラー。話題の2人がペアルックで出席したのはいいけれど、なんだかお友達と買い物に出かけた風。この年のテーマは「ロックスタイル」。だからって「ロック」と書かれたトップスはどうなんだろう。
ヒラリー・クリントン(2001)
大阪のおばちゃん⁉
この年のテーマは「ジャクリーン・ケネディ:ホワイトハウスの年」。この年の初めまでホワイトハウスに住んでいた、元ファーストレディで当時ニューヨーク州上院議員だったヒラリー・クリントンが出席した。まさかの総レオパードに日本では「大阪から減ったヒョウ柄おばちゃんがここに!」と懐かしむ声が上がったとか、上がらなかったとか。いずれにしても足元だけ普通の黒ヒールなのはいただけないという指摘がファッション業界から浮上した。
ジョイ・ブライアント(2011)
ママ友の夜遊びコーデ
女優でモデルのジョイ・ブライアント。ファッション界最大の祭典にニットの上下は明らかにNG。ママ友との夜遊びじゃないんだから! というツッコミが殺到した。
クリスティン・ダンスト(2012)
学校の先生⁉
優等生なイメージの強いキルスティン・ダンストにぴったりなスーツ風のドレス。似合っているけれど「学校の先生がいる!」というコメントが。
ザンドラ・ローズ(2013)
カオスを体現
ピンクの髪に穴あきトップス、チェーン、帯のようなベルトにそこから下がった変な布と突っ込みどころ満載の衣装で現れたのはデザイナーのザンドラ・ローズ。ちなみにこの年のテーマは「パンク:カオスからクチュールまで」。確かにカオス。
ルピタ・ニョンゴ(2014)
ルピタ先生もやっちゃった!
いつもおしゃれなはずのルピタ・ニョンゴが珍しくやらかした2014年。ハチマキ風のヘッドバンド、漁網みたいなドレスとそれに引っかかった羽と前ページのザンドラに負けず劣らず突っ込みどころ満載だった。この年のテーマは「チャールズ・ジェームズ:ファッションを超えて」。きっとこれがファッションの向こう側。
サラ・ジェシカ・パーカー(2015)
頭が燃えている⁉
翌年やらかしたのが同じくファッショニスタのはずのサラ・ジェシカ・パーカー。テーマの「鏡越しに見る中国」をヘッドドレスで表現したらしいが、ネットは「サラの頭が燃えている!」と大騒ぎ。
ソランジェ・ノウルズ(2015)
目眩に注意
幻覚みたいな柄のドレスで登場したのはソランジュ。どういう構造になっているのかじっくり見た挙句、サイケな柄に目眩を起こす人が続出したらしい。
マドンナ(2016)
後ろ姿にびっくり
2016年のMET最大のニュースは女帝マドンナ。バストとヒップを惜しげもなく見せて会場をマスコミを賑わせた。黒いレースに黒いテープのようなニップレスを合わせた姿は目のやり場に困るほど。
後ろ姿はさらに目のやり場に困るレベルだった。1999年に「露出が多すぎ!下品!」と叩かれたリル・キムも女帝に比べれば十分コンサバティブ。
カニエ・ウェスト(2016)
普段着で来ちゃいました風
同じく2016年、もう1人不評だったのはカニエ・ウェスト。ダメージデニムにスウェードのブーツに「普段着?」という指摘が殺到。カラコンにも「怖い」というコメントが。
リリー・オルドリッジ(2017)
シュッとのぞく赤い脚
ヴィクトリアズ・シークレットのエンジェルとして一世を風靡したリリー・オルドリッジ。フィッシュネットのマスクはともかく、スカートのスリットからニョキッと出た赤い脚にギョッとするファンが続出。
ドウツェン・クロース(2017)
普通すぎて残念で賞
リリーにお付き合いしたのか、同じくヴィクシー・エンジェルのドウツェン・クロースも大失敗。素敵なドレスではあるけれどフラットな感が否めない。ナイスボディなはずのドウツェンがのっぺりして見えると不評だった。
ジュリー・マックロー(2017)
テーブルクロス?カーテン?
会場に現れるとカメラの前で自慢げに手を広げた起業家のジュリー・マックロー。「テーブルクロスか」「いやカーテンだ!」とネットがざわついた。そう言われてみると、お腹にぶら下がっているものも巨大なタッセルに見えてくる。
フランシス・マクドーマンド(2018)
天体を頭にのせて
演技派としてリスペクトされているオスカー女優、フランシス・マクドーマンド。言われなければいったい誰なのかわからないくらい、巨大なヘッドドレスでレッドカーペットをざわつかせた。何より本人が鬱陶しそう。ちなみにこの年のテーマは「天体:ファッションとカトリックの想像力」。もしかしてこの頭は天体?
シェイリーン・ウッドリー(2018)
消防士風ドレス
同じく2018年のシェイリーン・ウッドリー。タイトな宇宙服風のコスチュームには「消防士がいる!」と言い出す人も。
レディー・ガガ(2019)
センセーションな変身を披露
なんと16分かけてレッドカーペットを歩いたレディー・ガガ。その間にピンクのドレスを脱いで黒のドレスに変身、そのドレスも脱いで再びピンクのドレスになった。それで終わりかと思いきや最後にそれも脱ぎ、ほぼアンダーウェア姿に。センセーショナルな変身はガガらしいけれど、METガラというハイエンドなイベントにはふさわしくないという批判を浴びた。
ケイティ・ペリー(2019)
テーマに沿わないコスプレ
2019年は失敗ドレスが豊作。ケイティ・ペリーはシャンデリア姿で現れた。テーマをファッションで表現するというアーティスティックなイベントにはふさわしくない単なるコスプレだとバッシングされた。ちなみにこの年のテーマは「キャンプ:ファッションについてのノート」だった。
番外編ではあるがアフターパーティにケイティはハンバーガー姿で登場。昨年デザイナーのトム・フォードはあるインタビューで近年のMETガラについて聞かれると「仮装パーティになってしまった。昔はシックな人が美しい衣装で集まる場所だった」「ハンバーガーのような服を着る必要はなかった」と発言。ケイティだけを批判しているわけではないけれど、この状況を嘆いているのは間違いない。