オリンピック選手が優先され、日本への留学生は日本政府から忘れ去られてしまっている。オリンピック開催の陰で、日本政府に切り捨てられた外国人留学生たちの悲痛な叫び

オリンピック選手が優先され、日本への留学生は日本政府から忘れ去られてしまっている。オリンピック開催の陰で、日本政府に切り捨てられた外国人留学生たちの悲痛な叫び

日本で高等教育や語学習得を目指す留学生は、高齢化が進む日本にとって重要な資源ですが、政府は外国からのオリンピック選手やオリンピック関連スタッフの入国を優先させています。

日本政府は、世界中から集まるアスリートと大会関係者11,000人の入国を決めた一方、現在母国に足止めされ、いつ日本に入国できるかわからない留学生を切り捨てようとしています。

多くの学生が、日本への留学計画を立て、留学資金を貯めるなどの努力を続け、来日するという夢に向かって長い間取り組んできたにも関わらず、先の見えない状況下で結果的に1年以上将来設計を保留せざるを得なくなっています。

イタリアの卒業生 フィリッポさん (24歳)

「私は奨学金を1つだけでなく2つ失うことになります。また、人生の重要な時期に仕事や教育に関する将来設計ができず、教育期間の1年半を無駄にしてしまうことになるでしょう。入国停止によって、勉学と仕事の両面においての重要な機会を否定されてしまいました。」

フィリピンの製品担当、デンモリーさん (27歳)

「日本語を学び、日本の文化に浸かりたいです。日本語を習得したら日本で修士号を取得したいです。[…]留学準備が万端となってから、すでに1年待機しています。すぐに日本に入国できると思っていたので仕事を辞めてしまいました。しかし、新たに入国停止措置が決定されました。これからまた1か月、1年と暗闇に取り残されたまま時間を無駄にしたくはありません。もし、さらに措置が延長されるようなら、私はここでの人生を続け、日本への留学の夢は忘れます。日本と日本の文化は好きですが、私が日本に望まれていないと感じていて悲しいし、どうなるかわからないのにもう1年時間を費やすことはできません。」

オーストリアのラファエルさん

「このために全てを諦めなくてはいけなかった。これから大変です。」

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なぜ留学生をオリンピック選手よりも優先的に、あるいは少なくとも同等に日本に入国させるべきなのか?

ドイツ人学生 ラウラさん (27歳)

「日本は、留学生にオリンピック選手と同じ対応をする責任があります。留学生はオリンピック選手のように、日本社会に長期的に貢献することをいとわず、日本語を学び日本と外国との懸け橋になることを約束しているのですから。私は日本とEUの関係と、東アジアの政治と法律を専門として修士課程を修了しようとしています。この分野での専門知識を深め、EUと日本の間での相互理解と交流に貢献するため、今年日本に行って日本語を学び、日本の大学で修士号を2つ取得することが大切なのです。学業修了後は日本での就職を希望しています。私の言語スキル、培った日本とEU間での政治と法律の知識をもって、日本とEUの学術交流ならびに経済交流に貢献したいと考えています。さらに、修士論文では東アジアにおける国際関係や日本とEUの関係の研究に貢献するつもりです。私の研究は、リベラルな価値観を推し進めるために国際舞台で重要な役割を果たしている日本という面に焦点を当てており、特にEUと協力していきながらその役割をさらに発展させていくにはどうしたらいいかを理解する助けとなります。」

エジプトの研究助手 マハさん

「私は日本で博士号を取得したいと思っています。免疫学の主要な研究所の1つに入ることが私の夢なのです。自国での今の仕事は諦めます。」

ドイツの博士課程に通う学生 パウラさん (23歳)

「交換留学生として、受け入れ先の大学の学生に異文化交流の機会をもたらしたいと思っています。私は多様性の高い街の出身として、これから出会う人々に新たな視点と考えを提起できると思っています。さらに、私の目標は専門である数理・計算科学での国際的研究者になることなので、大阪での滞在が実りあるものになれば、博士課程への進学も可能になり、日独関係の強化に直接関われるだけでなく、国際研究の舞台に日本が関わり続けるためにも貢献できるはずです。[…] もう1年、留学を延期することはできません。2022年に学位を取得予定のため、その後で交換留学を再申請することはできないのです。もし日本に入国できなければ、この機会を永遠に失うことになります。それは私の将来設計全体に影響を与えます。国際的に活躍する研究者になるためには、この機会が必要なのです。」

学生達は暗闇の中でずっと待っているわけにはいきません。世界中の何千人もの明るく意欲的な若者たちが自国で1年以上もの間、果たして入国できるのか、最終的にいつ入国できるのか、人生計画を進められるのかの判断ができるニュースを待っています。

ネパールのアシッシュさん

「日本に入国待ちですでに人生の非常に重要な1年を無駄にしているので、私はいらだち失望するでしょう[…]私の人生とキャリアはすべて保留状態です。私はもう1年以上待っているのです。」

フランスのクレートさん (22歳)

「交換留学で日本に行く予定でしたが、来日不能な場合は修士号取得ができなくなります。」

留学生は誰しもが、新型コロナウイルスの感染拡大抑制措置や感染予防措置に従うことへの重要さをよく理解しています。入国前と入国後の検査、到着時に公共交通機関を使用しない、待機期間の必要性、健康状態のフォローアップといったことです。スマートフォンアプリを介して毎日の健康状態と位置情報を報告し、ソーシャルディスタンスを保つために推奨されているあらゆるガイドラインに従うことも、また、受け入れ先の学校への誓約書提出で、あらゆる規則への遵守に同意する誓約もしています。

日本にいる外国人にとって、規則に従わないことは国外追放の可能性やビザの再取得に影響が生じる可能性を意味するため、留学生はとても真剣に受け止めているのです。

カナダのザカリーさん (21歳)

「私が新型コロナウイルスの件をとても真剣に受け止めていることを政府に知ってもらいたい。私は母国の法律と注意事項に全て従っているし、日本でも同じように従います。私は、日本人と私自身の身の安全を守るために必要なら、どんな予防措置に喜んで応じます。」

ポーランドの医師助手 アイリスさん

「私は待機も予防接種にも全て喜んで応じます。しかし、現段階で日本も私たちに明確な日付を教えてくれることを望んでいます。今のところ、もしかしたら新しい仕事をまた探さなければならないかもしれません。[…]すぐに日本に入国できる見込みがないのですから。本当に悲しくて悔しいです。」

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では、なぜ日本政府は学生を受け入れないのだろうか。

それは政治的理由としか考えられません。日本はオリンピック関連事項にはすぐに対応しました。しかし、学生の状況に関しては、あまり深刻に捉えていないようです。

数年前からトレーニングを積んでいるアスリートたちがオリンピックに参加する意義は承知していますが、長年日本に来ることを心待ちにし、新型コロナウィルス感染拡大防止策を厳守しようとしている学生が、未だ入国できず、今後の入国可能の見通しもつかない状況について、強い苛立ちを感じているのは当然のことと言えるでしょう。

オリンピック選手に関する決定はすぐになされたのに、すでに入国が許可され必要書類を手にしている留学生が、なぜそんなに長い間答えを待ち続けなければならないのでしょうか。

日本人は、新型コロナウイルス感染増加は積極的な政策が欠如していたからだと菅首相を批判しました。

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「国境管理の強化は、菅氏が新型コロナウイルスを厳しく管理していることを国民に示すために残した数少ないカードの1つです。彼(菅氏)は非常に防御的になり、積極的な政策がとれなくなりました。」(注)と青山学院大学文学部史学科教授である小宮京氏は語っています。(注:共同通信ニュース英語版より意訳、原文は英語)

日本が新規留学生の入国を停止しているのとは対照的に、韓国は(PCR検査、入国後の待機期間、および新型コロナウイルス感染拡大防止の適切な措置を講じた上で)留学生を受け入れ続けています。この記事を書いている時点で、韓国の感染者数は1日あたり日本の4分の1しかありません。このことは、感染拡大防止の適切な措置を講じれば、留学生を入国させても、症例数の増加につながるわけではないことを示しています。

日本では、外国人が海外からウイルスを持ち込み新型コロナウィルス感染拡大をもたらしたとよく言われますが、実際にはこの1年はほとんど、外国人は日本に入国できませんでした。したがって、海外から持ち込まれたとされるケースは、実はほとんどすべて帰国者がもたらしたものであり、外国人だけに対して国境を封鎖する措置は実際には機能していないのです。(政治的に政府がウイルスを阻止するため強固な対策をとっていると示す効力はありますが) 。

昨年秋、特に感染者が増加したもう1つの理由として、政府主導のGoToTravelキャンペーンがあります。このキャンペーンは、海外旅行ができなくなる中で地元の観光を促進支援するために開始されましたが、このキャンペーンを利用したのは主に日本人で、東京や大阪などの大都市から地方の観光地に移動しウイルスを拡散することとなったのです。

留学生の状況への配慮が明らかに欠けていることから、多くの日本留学希望者が、日本へ留学し長期に渡って意欲や時間を費やすことが正しいのか、それとも他の国への留学を検討することが正しいのか、多くの人が自分自身に問いかけています。

コロンビアの弁護士、マリア・アレハンドリアさん 24歳

「日本には私が関心ある法曹界において最高レベルの大学があり、そこが私のキャリアへの夢を実現させる場所なのです。入国できないことは、私にとって失望であり、気持ちが沈み、不安で不公平で不当な仕打ちと感じ、そして目的地を韓国へ変更する可能性があることを意味しています。人生をさらにもう一年失いたくありません。」

日本政府がこの状況を改善させることは可能ですが、今すぐに動かなければなりません。タイムリミットが迫っています。少なくとも今後数ヶ月先の生活の計画を立てるためにも、留学生は日本に入国できる時期と詳細を一刻も早く把握する必要があるのです。

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友人がオリンピックのボランティアで日本に入国するのに、学生が入れないのは不公平です。日本政府はちょっと。。。

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