10:尹勇吉の章
在日朝鮮人社会で経済的成功者として知られるのは、マルハンの韓昌祐と我らの姜勲であろう。姜勲といえば囲碁の世界に同名の棋士がいるので、柳勲とする。柳勲の日本映画界への貢献は今日知られてきた。韓昌祐、柳勲両氏に共通するのは、日本国から表彰されていることであろう。そして日本女性と結婚していることである。この日本からの表彰と日本女性と結婚している商工人に尹勇吉もいる。
9: 方貴達の章
「一日中はたらいて、夜道を店から家にむかって歩いていますとね、月が見えることがあるでしょ。そんな時、わたしはいつも思うんですよ。あの月を朝鮮にいる母親も見てるだろうってね。月をかすめて鳥が飛んでいったりすると、わたしも鳥になって朝鮮に行けたらなって本気に思うんですよ。
在日商工人を論じる場合、夫人の支援、内助の功を抜きに論じると見当外れに成る場合が多い。金範の場合など、夫人の下支えが大きかった、と伝えられている。
「丸金」の名前は大変著名である。南牛が「丸金」の名前を耳にしたのは、山梨学院大学の宮塚利雄教授がゼミを設けている話からであった。宮塚利雄教授は大学の講座に「パチンコ」を取り入れただけでなく、焼き肉、街金も取り上げ、在日商工人の活動を調査している。心算、この分野の第一人者だが、惜しむらくは金正日総書記と北朝鮮に対して「悪意」を抱いている為、在日朝鮮人の商業活動を総体的に把握出来ないでいる。
金範は済州島北済州郡旧左面(クチャミョン)出身である。「面」なら、日本で言えば「村」であろう。早速、知らない関係ではない旧左面2世であろう高二三氏に電話を入れた。